概説
血管内で血液が固まるのを防ぐお薬です。おもに、心原性脳塞栓症の予防に用います。
作用
働き
血管内で血液が固まり、血流を止めてしまう状態を“血栓”といいます。また、血栓が流れ、その先の血管を塞いでしまうのが“塞栓”です。心筋梗塞や脳卒中(脳梗塞)がその代表です。血管が詰まってしまうので、その先の組織が障害を受け機能を失ってしまいます。
このお薬は「血液凝固阻止薬」です。血管内で血液が固まるのを防ぐ強い作用があります。そのため、塞栓の予防薬として有用です。とくに、脳卒中のうち、ある種の不整脈(心房細動)により心臓に血塊ができ、それが脳の血管に流れて詰まってしまう“心原性脳塞栓症”に効果が高いことが分かっています。
薬理
血液を固める重要な役目をするのがトロンビンという酵素の一種です。このお薬は、そのトロンビンの働きをじゃますることで、血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぎます。このような作用から直接トロンビン阻害薬と呼ばれています。
臨床試験
心房細動(非弁膜性)をもつ患者さん18113人(うち日本人326人)を対象に、従来の標準薬のワルファリン(ワーファリン)と効果を比較する大規模臨床試験がおこなわれています。ワルファリンに劣らない脳卒中の予防効果があるのかを確かめるのが目的です。その結果、脳卒中または全身性塞栓症を起こしてしまった人は、この薬を飲んでいた人達で2.3%(133人/6076人)、ワルファリンを飲んでいた人達で3.3%(198人 /6022人)でした。この薬を飲んでいた人達のほうが、脳卒中または全身性塞栓症を起こす割合が30%以上少なく、ワルファリンにまさる効果が確認できたわけです。また、出血の副作用もワルファリンより少ないことが示されました。
特徴
直接トロンビン阻害薬と呼ばれる新しいタイプの抗凝固薬です。古くから、心原性脳塞栓症の予防薬として用いられてきたワルファリン(ワーファリン)とは、作用メカニズムが違います。ワルファリンよりも高い有効性を示し、また効きすぎによる出血リスクも低減しています。
ワルファリンのように、こまめに血液凝固能を検査したり、用量調節に神経をそそぐ必要がありません。食物との相互作用の心配がなく、薬物間相互作用も比較的少ないです。今後、心房細動に起因する心原性脳塞栓症の予防薬として広く用いられることでしょう。